今週の「たかじんNOマネー」は老人問題、だったのだが、
特別区設置にかかる住民投票の話が冒頭にあり、
「取材した」という須田慎一郎さんが
老人が反対したから反対多数になったと言っていた。
母数不明の出口調査そのままでは絶対投票数が分からない。
なのでこの部分だけ先に一言。
人口比でいえば20~40台と60歳以上はほとんど同数。
若年層では賛成の比率が高かったとすると
投票率が同じなら賛成多数になったはずである。
そうならなかったのは若年層の投票率が低かったからだろう。
何で低かったのかは想像の世界だが、
投票日直前まで都構想を「分からない」と答えた人が
40%以上いたことと無関係ではなさそうである。
分からないものに迂闊に手は出せないし。
橋下さんの場合こういうことが多く、例えば中学校の給食。
今まで選択制だったものを全員喫食に変えたのだが、
選択制にとどまっていたのは
温かい給食を提供する設備が不十分だったから。
だったら早急に設備を整えろよって話だが、その場合、
A 当面は冷たい給食でもいいから直ちに全員喫食にする
B 同時進行では一度に金がかかるから、設備を優先する
C 選択制のままでゆく
大雑把に言えば三つの選択肢が考えられる。
どれがいいかは当事者である
中学生と父母に聞いてみなくてはなるまい。
ところが橋下さんは問題点を整理して解決案を提示しつつ
要望をくみ取り合意形成を目指すといった工程を全てすっ飛ばし
いきなりAを実行する。
だから冷蔵庫で冷やしたカレーなんか食えるかと苦情が出る。
Aが良いと橋下さんは思ったのだろうが
なんでそう思ったのかなんて他人の胸の内は分からない。
とこーそーも同じことで「二重行政の解消」と言われても
具体的にどんな問題があるのか分からない。
今さらバブル期の大型開発を持ちだされても
2000年以降はそんなのないし、若者にとっては昔話だ。
府立体育館と市立体育館の二つあると言われても、
どちらも利用率の高い施設だし、一つにされたら
来年からウチの大会はどこでやったらいいのかと
不安になる人もいるだろう。
協定書にはそこまで書いてないし、
細かい制度設計は市長と知事が決めるとなってるだけ。
中学の給食みたいに課題と問題点がはっきりしていれば
いくつかの解決策から選ぶことも出来るが、
解決すべき課題がはっきりしないのだから
「これしかない」と言われても説得力がないし、
何を解決したいのか分からなかったら代案もへったくれもない
制度を変えたら何で良くなるのかも不明だ。
積極的に賛成する人が三分の一しかいなかったとも読めるのは
分からないものには乗れない、
と思った人が多かったのではなかろうか。
民主主義の核心は採決に至る過程にある。
多数決が全てでも「戦争」でもない。
「大戦争だ」「ぶっ潰す」と叫んでおいて負けたら突然
ノーサイドとか異なる意見の尊重を言いだすが、
だったら自分もそうしておけば良かったのではないだろうか。
「戦争」などしなくてももっと分りやすく、したがって
いろんな案が出てきて
実のある議論が活発になったのではないだろうか。
それが厭だったと言われたらそれまでだが。