卑弥呼と巫女さん
「あれ?巫女さん、何でおんねん」
「仕事です」
「国家試験近いから今月は休む言うとったやないか」
「家で勉強しててもねぇ・・・」
「ここで仕事しとっても試験の役には立たん」
「諦めたというか、もういいかなって・・・」
「それでワシがやった学業成就のお守り、放ってあんねんな」
「いや、あれは・・・」
「『家に持って帰って勉強しますっ』って言うとったのに」
「忘れただけで・・・」
「たったのイッシュ~カンしか経っとらんっちゅうに」
「看護師にはならないかなって・・・」
「21歳やろ?あと60年は生きるぞ」
「長生きですね」
「60年の間に何があるかなんて大日如来でも・・・」
「天照大神ですね」
「ん、まぁ巫女さんの世界では・・・とにかく誰にも分からん!」
「アマテラスさんねぇ・・・・」
「つまり、卑弥呼やな」
「は?」
「太陽信仰を示す八つの光芒が刻まれた鏡」
「はぁ」
「これが九州と奈良で見つかっておる」
「それが?」
「古文書によると伊勢神宮に収められている鏡にも
同じ文様があるのじゃ」
「えっ・・・と驚きたいところですけど、卑弥呼はんは?」
「魏志倭人伝によると卑弥呼は諸国の王より選ばれた」
「ふむふむ」
「太陽神を崇める九州の女王が選ばれ、
大和に移って諸国を収めたのじゃ」
「えーと・・・」
「太陽神、女王、伊勢神宮を結ぶと・・・」
「大日如来」
「なんでやねん!」
「ほんだらワシら、卑弥呼はんを祀っとったゆうことでっか?」
「なんで喋りがオッサンになんねん21歳」
「卑弥呼はん、死んだ後
八百万の神々の女王にならはったんでんなぁ」
「まぁ・・・知らんけど」
「エーッ!」
「そんなことより、簡単に諦めるなよ、言い訳を探すな」
「ん~・・・・・」
五日後、巫女さんは休みを取っていた。
学業成就のお守りもなくなっていた。
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