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2009年12月26日 (土)

歴史雑感~JINではなく坂の上

眞鍋さんが観ていたというJIN。

裏番組はこれまた愛媛つながりの「坂の上の雲」。

「坂の上」関連サイトを見ていたら変な記述があった。

「騎兵には胸甲騎兵、軽騎兵、竜騎兵の三種類がある」

なんじゃそら?

 

騎兵には重騎兵と軽騎兵しかない。

それも兵隊の体格の差、図体がデカイか小さいかだけの話。

わざわざ区別する必要もなく、現にアメリカにはそんなのない。

秋山好古の時代にもそんな区別はなかったはず。

阿部寛さん、馬に乗るにはデカ過ぎるし・・・。

 

どうやらドイツから直輸入された文献が出展らしい。

普仏戦争でフランスがプロイセンに負けると、

日本の陸軍も負けたフランスから勝ったドイツにシフトする。

その頃に導入された資料だろう。

プロイセンには白胸甲騎兵なんて派手なのがいた。

 

だが、胸甲騎兵はナポレオンの歴史趣味が生み出したものだ。

ぴかぴかのヘルメットに胸当てを着け、マントを翻す、

ジュリウス・ガイウス・カエサル(シーザー)みたいなファッション。

胸甲が弾丸を跳ね返す訳ではないので、カッコつけただけである。

エンゲルスは「馬鹿馬鹿しい」と切り捨てている。

 

ヨーロッパで皇帝と言えばローマ帝国に由来する。

西ローマ→神聖ローマ→ドイツ、オーストリア帝国の流れと

東ローマ→ロシア皇帝の流れ。

ナポレオンもこれに便乗して、古代ローマ帝国同様

「皇帝の鷲」を軍に持たせたりした。

 

こういう馬鹿馬鹿しいことがヨーロッパでは盛んに行われた。

軍隊は貴族の次男坊、三男坊のいい就職先だったので、

カッコいい軍服が必要だったのだろう。

舞踏会でモテる為に。

 

国産自動車の名前にもなっているランサー(槍騎兵)

はポーランドの、ハッサー(驃騎兵)はハンガリーの、

それぞれ伝統的な衣装を「カッコいい」と真似たもの。

竜騎兵の由来には諸説あるが、

独自の用兵思想や任務がある訳ではない。

 

槍騎兵は槍を持ち、竜騎兵は鉄砲を持つ

という違いがないではないが、

時代が進むと鉄砲を持たない騎兵はいなくなったし

槍を使うのも槍騎兵だけではない。

 

軍拡に興味がなかった19世紀のアメリカでは、

当然、こんな妙な区別はなかった。

先住民の弓矢に対抗してリボルバ-を愛用したので

「竜騎兵」を名乗ったモノ好きがいたくらいである。

 

だが、幕末から明治初期の日本では、

限られた情報から生まれた錯誤が

そのまま定着してしまうことが多々あった。

それが未だにそのままになっていることも珍しくない。

 

博物館に幕末に使われた銃が展示してあり、

「ゲベール銃」などと説明されている。

ゲベールとはドイツ語で銃のことなので、

「カー自動車」と言ってるのと同じである。

 

見たところ、明らかにプロイセンで使われたドライゼライフル。

ドライゼはモーゼルの師匠で、オリンピックで使われる

競技銃の全てがこのメカニズムの派生型だ。

エライ人なのである。

 

ペリーが来航した1853年(クリミア戦争)から明治初期、

この時期は銃砲史最大の変革期だった。

売れなくなった旧式の在庫をさばこうとする悪徳業者から

なかなか売れない新型の売り込みを図るベンチャーまで

いろんな業者が日本に売り込みにきた。

 

最近、佐賀県で発見されたスペンサーライフルは後者で、

初の連発式実用大型ライフルだったものの、

より扱いやすいウィンチェスターに押されて姿を消した。

貴重品である。

 

各藩が騙されたり掘り出し物を見つけたりしながら

それぞれ勝手に雑多な買い物をした。

その混乱が今でも整理されずに残っている。

博物館や歴史書の記述も、

各論はともかく総論としては整理不十分だ。

 

演技力ではカバーしきれないから仕方ないけど

阿部寛さん、絶対、軽騎兵には見えないし。

ただし、演技も重厚だが。

  

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