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2008年8月20日 (水)

無形の形

近所に腕のいい洋食屋があって、

頼むと「限界だし巻き」などと言うものを作ってくれる。

洋食屋だからとろとろオムレツは得意だが、               似たものなら自分でも作れる。

だが、この「限界だし巻き」はそうはいかない。

見た目は普通のだし巻きだが、触れてみれば、            かろうじて形を保っていると言う代物なのだ。

口に運べば、たちまち形がなくなってゆく。

コップからこぼれた水のようなもの。

  

眞鍋さんのインタビューに応える谷村新司さんが似たような話をしている(『週刊ポスト』8.29 「ココだけで教えて」)。

コップからこぼれて、初めて自由になった水は、初めて自分に形がない事に気がついた ・ ・ ・ 

谷村さんが教える中国人学生が作った詞だそうな。

いやっ!表面張力と重力の働きによって形も規制される。

そもそも、水に思考力はない!

などとアホな事を言う理屈屋もいそうだが、

それもまた正しい。

 

確かに、スペースシャトルの中で見る水は、

ふわふわと姿を変えながら、それでも形を保っている。

重力に規制されない形。でも、形は形。

 

人の感じ方もこれと似ている。

器に押し込めて、好みの形にする事も出来るだろうが、

基本は自由。

だが、それぞれの形があるからこそ、

人の心を動かしたり、考えさせたりする事が出来るのだ。

決まりきった無味乾燥な形に感動はない。

無形から生まれる形。

それが発想力と創造性だ。

 

但し、人の心を動かすには人としての共通項を揺さぶらなければならないから

独りよがりではダメなのだが

 

谷村さんと眞鍋さん。日頃から仲が良いという話だったが

流石、眞鍋さん。

馴れ合う気配を微塵も見せず、しっかりとインタビューしている。

そして、自身の為になる話もたっぷり聴き出した様だ。

 

眞鍋さんの感性も、水の様に透明で、

無重力状態のように柔軟だが、

無味乾燥ではない。

決して濃厚ではないが ・ ・ ・ 美味いのだ。

「限界だし巻き」のように。

 

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