アイ アム ゴーストライター
自分がゴーストライターだと思ったことはないが、気が付けばそう言われても仕方のない仕事をしていたことがある。
きっかけは取材で知り合ったあるセンセイ。原稿を頼みに行ったら「君に任せるよ」と言われてしまったのだ。
「は?」
「そこはキミィ、Nagaraクン」
と言う訳で、先生の日頃の発言からこう語るであろう内容をセンセイらしいカッコイイ言い回しでまとめてみた。取り敢えず仕上げた原稿をチェックしてもらおうとしたら「いいからイイカラ」と断られ、止む無くそのまま活字に。
ところが、それが大好評である。
「さすが**さん、冴えてるねぇ」などと言われ、喜んでいいやら悲しむべきか、答えに窮してつくり笑いで誤魔化した。
以来、センセイの著したものはほとんど私が書いたものである。センセイの著書は学生時代から親しんでいたし、講演の類もたくさん聞いていたから馬脚を現すことはなかった。図書館に行けば、今でもたくさん並んでいる。
墓場まで持ってゆく秘密 ・ ・ ・ のつもりだったのに、何処をどう廻りまわってそうなったのか、別の「文化人」の新刊書をまとめる仕事を任される羽目になった。多数の著書を持つひとかどの人物だったのだが ・ ・ ・
その元原が酷い!まず、日本語になっていない。文法無視も甚だしく、意味が分からない。「味のある言い回し」と称して使っているのがTVCMのパクリ。しかも、意味を取り違えている。
先のセンセイと違ってこの「文化人」は注文が多かった。CMコピーのパクリはいくらなんでもカッコ悪かろうと直しを進言しても頑として言うことを聞いてくださらぬ。恥をかくのは私ではない、と割り切ってそのまま出版してやった。ザマァ見ろ。
誰もが知るベストセラー作家にもいろんな人がいる。勿論、立派な先生方ばかりだが、中には「老舗」を「ロウホ」と読む人もいたりして ・ ・ ・ 有能な編集者と優れたゴーストライターがいなかったら、たちまち瓦解するのが日本の出版界なのかも知れない。よう知らんけど。
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